Interview With カツサンド 前編 ~伝説は、こうして生まれた~

帝王、王者、カリスマ……。

彼を表現する言葉には常に敬意が込められ、憧れを含み、賞賛にあふれていた。
また彼が主宰するギルドは歴史的な無敗記録を誇り、多くのプレイヤーにとっての目標として君臨し続けた。

そのカリスマ性は、特に初期の頃から幻影戦争を楽しんでいるプレイヤーにとっては、今なお色褪せることなく輝き続けている。


ということで、『Insight Of The Visions』一年振りの再開にあたり、再開初回のゲストとしてこの方にインタビューさせていただきました!


前編である今回は、 “帝王” カツサンドさんの素顔(?)に迫りたいと思います!



すぐに辞めると思っていた幻影戦争


カーナ

カツサンドさん、本日はよろしくお願いします!


カツサンド

よろしくお願いします!


カーナ

カツサンドさんは、幻影を初日から始められてますよね?


カツサンド

はい、初日です!


カーナ

始めたきっかけは何だったんですか?


カツサンド

当時、ゲーム友達の嗚呼さんと海外産の戦争ゲームを何年かやっていたのですが、24時間緊張感のあるゲームで、海外勢に蹂躙され続けることに疲れきっておりまして(笑)

そんな時、嗚呼さんからFinal Fantasy(以下、FF)を冠する面白そうなゲームが出るらしいという情報を聞きつけ、それで初日にインストールしました。


カーナ

なるほど、ということは元々FFがお好きだったんですか?


カツサンド

いえ、やったことなかったです(笑)


カーナ

あら(笑) では元々やってらっしゃった海外のゲームと幻影が、ジャンル的に近かったから惹かれた、という感じですか?


カツサンド

いえ、全然違うゲームに切り替えたんです(笑) なので、正直最初はやるべきことが全然わからなくて、とりあえずサンクレッド他7~8キャラを初日に完凸させました(笑)


カーナ

ちょっと何を言ってるのかわかりませんが。
元々やっていたゲームとはジャンルが異なり、ましてFFに惹かれたわけでもないとなると、それでも幻影戦争をやってみようと思えたのはなぜだったのでしょう?


カツサンド

正直、すぐ辞めると思ってました(笑)

ただ基本RPGは苦手なのですが、その昔SDガンダムのカプセル戦記ってのがありまして……。ああいう感じのシミュレーションゲームが好きで、グラフィックも綺麗で、さらに戦いもオートなので、やってみたら結構面白いと感じたんです。


カーナ

カプセル戦記!!めっちゃ懐かしい!!!



カツサンド

当時、学校から帰ってきてはずっとシャアと戦ってました(笑)


カーナ

スパロボ(スーパーロボット大戦)やGジェネ(Gジェネレーション)の起源となるようなゲームでしたよね。


カツサンド

ですね! 当時はシミュレーションゲームなのにバトルだけは手動で、プレイヤースキルでピンチを乗り越えられる点も好きだったんです。ただ歳のせいか手動はだんだん面倒になり……。でも、幻影戦争はフルオートでもできたので(笑)


カーナ

なるほど、とてもよくわかります(笑)
ところで「すぐ辞めるかも」と思われていたゲームでギルドを立ち上げることになるわけですが、その時にはもう幻影にハマっていたんですか?


カツサンド

いえ、まだハマる前でしたね。ギルドのページに「ギルドを設立しよう」的なノリの記載があったので、とりあえず嗚呼さんと始めたしギルドでも作ってみようかなと。


カーナ

なるほど、やがて伝説と呼ばれることになるカツサンド騎士団は、そのお二人から始まったんですね。



伝説たちの邂逅と別離


カツサンド

ゆるく遊ぶために、募集要項は「意欲のあるやつだけ来い」みたいな偉そうなことを書いて、さらに加入条件をランク80以上に設定していました。これなら誰も来ないだろうと(笑)


カーナ

当時でいうランク80は、今でいうランク170以上ですよね(笑)


カツサンド

ですね、何と言っても初日ですから(笑)
でも数日後に、そんな誰も叩かなそうな門を叩いた人がいたんですよ。


カーナ

なんと!


カツサンド

それがカツサンド騎士団の初代指揮官である、ソージさんでした。
伝説のプレイヤーの1人ですね。


カーナ

ソージさんとの出会いはそんな形だったんですね! 何というか、その募集要項に応募してくる時点で強者ですね(笑)


カツサンド

ですよね(笑) そこで嗚呼さんに「すごそうな人来たけど、入れる?」みたいな感じで聞いてみたところ、彼が「嗚呼」と答えたので加入が決まりました。


カーナ

(嗚呼さん、確実にNoと言えないプレイヤー……)


カツサンド

その後はソージさんがハブになってくれて、ギルメンを集めてくれたんです。
交流を持つ中で良さそうなプレイヤーを見つけては、

ソージ「カツ兄、こういう人がいるんだけどどう思う?」
私「いいと思う」

嗚呼「嗚呼」

という会話が繰り返されていきましたね。


カーナ

(嗚呼さん、確実に以下略)


カツサンド

後にカツサンド騎士団の二代目指揮官となる侍ごううちさんや、現在もパルチザンD.C.(以下、パルチ)で活躍されているFreesiaさんあたりも、確かそんな経緯で加入してもらったんだと思います。


カーナ

ちなみにカツサンド騎士団におけるレジェンドプレイヤーとしては、シノンさんも名高いかと思うのですが。


カツサンド

そうですね、彼は恩人です。


カーナ

おぉ、そう呼ばれる背景をお聞きしても大丈夫ですか?


カツサンド

ギルドバトル(以下、ギルバト)が始まってからずっとソージさんが指揮をしてくれていたのですが、2月末に彼が辞めることになって。その後結構ピンチが続いたんですが、その際にずっと個人的に相談に乗ってもらっていたんです。

彼は私をずっと「大将」と呼んでくれていたのですが、「大将はそのままで、ドーンと座っていてくれる方がいいと思いますよ」って。彼もギルマス経験の豊富な方だったので、ギルマスに求められることを理解してくれていて、精神的にすごく助かりましたね。


カーナ

精神的な支えになってくれていた、ということなんですね。


カツサンド

そうですね。指揮官としてのソージさんの役割を侍ごううちさんが引き継いでくれて、シノンさんはスーパーバイザー兼最強プレイヤーって感じでしたね。


カーナ

シノンさんが辞められるとき、カツサンドさんがTwitterで「さらば幻影界最強の男!」っておっしゃっていたのが印象に残っていて……。



カツサンド

あの時は悲しかったですよ、それはもう。


カーナ

表には出さなかったけれど、ショックは大きかったんですね。


カツサンド

そうですね。「こちらこそ、大将に会えて良かったですよ。カツサンド騎士団は、最高の思い出です!」という最後のメッセージをもらったときは、寂しかったけどマジで嬉しかったですね。


カーナ

おそらく在籍期間でいうと数ヶ月程度だったとは思うんですが、それでもかなり強い絆で結ばれていたということですね。


カツサンド

そうですね、ソージさんとシノンさんの二人がカツサンド騎士団のベースを作ってくれて。そんな心強い二人が辞めてしまった以上、そこから先は文字通り自分がカツサンド騎士団のリーダーとしてギルドを引っ張っていこうという感じになりましたね。



初めての敗北時に、湧きあがった想い


カーナ

そんな紆余曲折があった中でも、ずっと連勝を続けていったカツサンド騎士団ですが、最終的にはどれくらい連勝を続けられたんでしたっけ?


カツサンド

確か109連勝ぐらいだったかと。


カーナ

1位に君臨し続けての記録ってことを考えると、改めてすごいですね(笑)

ギルバトにおいては最初のライバルがチョコボ団さんやLEGIONさんで、その後フローズヴィトニル(以下、フローズ)さんやパルチさん、LEGALさんらが台頭してきたっていう感じですかね?


カツサンド

そうですね。ただ初めてLEGIONさんと当たった時、ソージさんが「今日のギルドは強い」って言ってたんですが、私からしてみればソージさんの方がよっぽどすごくて(笑)

誤解を恐れずに言うなら、個人的には「うちにはソージさんがいるから」と、そこまでライバル視はしていなかったかもしれません。


カーナ

おぉ、なんか王者の風格漂う言葉ですね!


カツサンド

自分は特攻していただけなんですけどね(笑)
それくらいソージさんは優れた指揮官だったと思います。


カーナ

ところで、そうして連勝を積み重ねる中で迎えた2020年3月30日、ついにフローズさんを相手に1敗目を喫するわけですが。


カツサンド

はい。



カーナ

当時Twitterはお祭り状態だったじゃないですか。あの時、敗北した側であるカツサンドさんの心情というのは、どういったものだったんですか?


カツサンド

「カツサンド騎士団に勝った!」っていうテキスト、なんかシュールだなって。
「なんだよ、カツサンド騎士団って」って笑ってました(笑)


カーナ

そこ!?(笑)


カツサンド

実はソージさんからも何度も改名を促されていたんです(笑)

他のギルドはみんなカッコいいギルド名だったのに、なかなかいいのが思いつかなくて。それで、そのままにしてたら連勝が続いてしまって。「おいおい、FFなのにカツサンドで良いのかよ」みたいな思いが自分の中にもずっとありまして(笑)


カーナ

何というか、想定していたものとかけ離れたコメントが……(笑)
でもそこまで冷静に見れていたということは、「そろそろ負けるかも」という予兆みたいなものがあったということですか?


カツサンド

ですね。むしろ、確か初めて負ける数日前に既にパルチにほぼ負けてたんですよ。

でもギルバト終了まであと1分というところで、来れない予定だったメンバーが来てくれて勝てたんです。てっきり負けると思っていたからTwitterで先に「パルチおめでとう」的なことをつぶやいちゃってて、当時パルチのギルマスをしていた大統領からは「嘘サンド」と言われ続けました(笑)


カーナ

なるほど(笑) ちなみに開始からずっと無敗を続けていたというのは、ある種プレッシャーみたいなものもあったのかと思うんですが……。


カツサンド

それはもちろんありましたね。なので、そのプレッシャーから解放された感じはありました(笑)
何より、そもそもこんなに連勝できたのは、言ってみれば偶然の産物なんですよ。


カーナ

というと?


カツサンド

ソージさんが好きだったサンクレッド、嗚呼さんがロブ・ホルンと間違えて育成して「あれ?これ硬くね?」てなったエンゲルベルト、そしてフェイスの概念を知らなくて活性をよく外していた私のシュテル。これで完成したのがカツサンド騎士団です(笑)


カーナ

なるほど、育てるキャラを性能で選んだわけではなかったのに、結果として当時の強キャラをみんなが育てていた、ということなんですね(笑)


カツサンド

当時エンゲルベルトと組ませると驚異的な活躍を見せたアヤカも、元々は嗚呼さんの元カノの名前が「アヤカ」だったからという理由で、彼が完成させたんです(笑)

なので、強キャラを揃えられたのは偶然の産物で、それがあんな連勝につながることになるとは全く思っていなかったんですよ(笑)


カーナ

偶然の産物とはいえ、そこまでキャラを育成できる人自体が限られてはいたと思いますが……。でもあの1敗があったからこそ、カツサンド騎士団の伝説が完成した、という側面はある気がしますね。ある意味で、記録が完結したというか。


カツサンド

とりあえず何か名前必要で、FFなら『騎士団』をつけるのが普通っぽいと聞いてつけた名前が、まさか伝説と言われるようになるとはありがたい限りです(笑)



誰のせいだと。


カーナ

そんなカツサンド騎士団も、ハーフアニバを過ぎた頃に解散という運びとなるわけですが、その理由を伺ってもよろしいですか?


カツサンド

大きく2つあって。

1つは私の仕事が忙し過ぎて、毎日のギルバトへの参加がかなり大変になり、ギルマスとしての仕事ができなくなってきたという理由です。いわゆるリアル都合ですね。

もう1つは、いい意味で元々カツサンド騎士団が掲げていた「緩く楽しむ」的なことを続けたいという古参のメンバーと、カツサンド騎士団の誇りを保ちたいと思ってくれている新メンバーとの間で、微妙に噛み合わない雰囲気を感じるようになって。

私自身は「ゲームは楽しんでなんぼ」と思っているので、その思想からズレてるなぁと感じるようになってしまって。


カーナ

なるほど。


カツサンド

まぁここまでやれたし十分かな、という満足感もありましたしね!


カーナ

どちらの気持ちもわかるので、難しいところですよね。新しいメンバーの方々の思いもとてもよくわかるのですが、ある意味でカツサンドさんの想定を超えて「カツサンド騎士団」が神格化され過ぎてしまっていた、ということですかね。


カツサンド

きっとそんなところです。
まぁ「カツサンドの神格化」という字面のシュールさに笑ってしまうのですが(笑)


カーナ

(誰のせいだと……)ちなみに名前の由来は何なんですか?


カツサンド

確か幻影戦争がリリースされたのは当日のお昼頃だったと思うのですが、ゲームを始める時にたまたま食べていた昼食がカツサンドだったんです。


カーナ

……え、それだけ?


カツサンド

うん、それだけ。


カーナ

……当人が一番名前に思い入れなかったわ!


カツサンド

フローズヴィトニルとか、パルチザンとか、みんなギルド名めっちゃカッコいいじゃないですか。なのに「その目標がカツサンドって」とずっと思ってました(笑)


カーナ

もう声に出して言いますね。誰のせいだと思ってます!?


カツサンド

すみません(笑)




カリスマ視されているその存在とは裏腹に、とてもフランクでお茶目なカツサンドさん。比較的初期から幻影戦争に触れている自分としては、出てくる名前すべてが大物で、何というか歴史の生き証人と話している気分でした。

なお「なんだよ、カツサンドって」っていうのは、むしろおそらくほぼ全員が抱いていた思いであることをこの場を借りてお伝えできればと思います!


来週公開予定の後編では、カツサンド騎士団の姉妹ギルドとして生まれた「タマゴサンド騎士団」についても聞いてみたいと思いますので、お楽しみに!