運営のお二人へ出したダメ元のオファーが、まさかの形で承認された『Award Of The Visions 2021』。
「これは絶対に面白くなる」
そんな手応えと共に、この企画を最高のものにするために、いよいよ具体的に動き出します。
そして、心震える動画が生まれた
まずはイベントのオープニングを飾るムービーについて考え始めました。
依頼するのはもちろん、最高の動画クリエイターであるファラリスさん。昨年の幻影アワードも、ファラリスさんの最高のムービーがあったからこそ、あそこまで胸に残るイベントになったのだと感じていたため、今回もぜひともお願いしたかったのです。
とはいえ、「お願いします!」と丸投げするのではあまりに無責任です。
ただ、僕は動画制作には全く詳しくないので、具体的なイメージを思い浮かべることはできません。絵コンテはもちろん、字コンテだって書けません。「何となくこんな感じ」と頭に思い浮かべることはできても、それをうまく言葉にして説明することはできないのです。
その一方で、絶対に依頼側として避けたいのは、何となくのイメージすら伝えていないのにも関わらず、上がってきた動画に対して「なんかちょっと違う」と抽象的にNGを出すこと(意外と “あるある”)。あるいは「ファラリスさんのなら何でもOKです」と、無責任に全承認してしまうこと。
特に幻影アワードの動画は、「こういうメッセージを伝えたい」という想いが少なからずあるので、せめてBGMの選曲と動画に載せるメッセージ(テキスト)、大まかな構成くらいは作りたいと思うのです(ファラリスさんなら、その程度の素材でもこっちのイメージを理解してくれるんじゃないかという甘えもありますが)。
まず手を付けたのは、BGM探しです。
個人的にオープニング動画のBGMに求めるのは、 “主役を張れるくらいのパワー” をもった曲です。
例えばアニメなどのオープニングに流れる曲は、そこで流れる映像に負けないだけの主役感を感じませんか? 一方で、劇中に流れる音楽というのは、基本的にはストーリーをより輝かせるための “名脇役” のような存在だと思うのです。
“主役” と “名脇役” と表現したように、そこにあるのは良し悪しでも優劣でもなく、ただ求められるものの違い、役割の違いです。そしてこれはあくまで僕の個人的な意見ですが、幻影戦争のオリジナルサウンドトラックに収録されている曲の多くは、 “名脇役” であることを求められた曲が多いように感じます。なので、正直に言うとなかなかにBGM選びは難航しました。
※おそらく “主役” として作られたであろう曲を、幻影ダンジョンという別のイベントのムービーで使ってしまっていた、という事情もあります。
そんな時ふと思い出したのは、メインストーリー第2部『ゲイルハイランド戦役』のオープニングムービーでした。
オープニングムービーに使われる曲として作曲されたのであれば、それはおそらく “主役”タイプの曲だろう。そう思ってYoutubeで確認したら、これが大当たりでした。
かなりアップテンポな曲ですが、抑揚のある場面展開がなされていて、哀愁が漂う瞬間もあれば、それを乗り越えて前に進もうとする力強さもあり、さらにはコーラスが重なることでどこか荘厳さを感じる場面もあり……。
わずか2分に満たない長さにも関わらず、見事に起承転結が描かれている気がして、「もうこれしかない」という気になりました。
曲を何度も何度も繰り返し聞き、まずは以下の3点を決定します。
・BGMの曲調に合わせて、メッセージはどこか力強さを感じるものにしよう
・一瞬曲が途切れるタイミングでイベントのキーメッセージを出そう
・畳みかけるように迎えるラストシーン、最後の音に合わせてイベントロゴを表示しよう
最後のシーンは、事前にほななさんが作ってくれたこれまた最高なイベントロゴが完璧にハマる自信がありました。
(あの王モント像、ホントさすがとしか言えない)
そしてキーメッセージとラストシーンの間には各賞の紹介を入れる流れで行くことに決めます。
後は前半部分に使うメッセージの作成です。
思わずスキップしちゃうような純粋な楽しさというよりは、辛い想いや悔しい想いを抱えながらも、それでも時に歯を食いしばって前に進み、何かを乗り越えることによって喜びやカタルシスを感じる。それこそが幻影戦争というゲームの魅力であると思っています。そしてこの曲は、その魅力を表現するのにぴったりな曲調だとも感じました。
それを何とかテキストで描きたくて四苦八苦。
出来る限り多くの人に、「あ、これは自分のことだ」と思ってもらえるようなものにしたくて、Twitter等でつながっているプレイヤーさんのことを思い浮かべつつ、言い過ぎないように “余白” を残すことを意識しつつ…。
何度も何度も書き直して、あの形になりました。
そうして、ほななさんに各賞の画像を作ってもらい、曲の何秒くらいのタイミングでどのテキストを出すか、といった構成だけ作成して、ファラリスさんに後を託します。
そこから20日くらい経った頃でしょうか。
ファラリスさんからついにムービーが送られてきました。
『未だこの腕を磨くのは、譲れぬ誇りがあるからだ』
あのメッセージが動画上に表示された瞬間、言葉にできなかった、何一つ具体化できなかった僕の中にあるイメージを、ファラリスさんがしっかりと汲み取ってくれたんだと、本当に心が震えました。
本当に、本当に震えました。
曲の雰囲気が切り替わるあの瞬間がまさに、僕の中では『それでも前を向くんだ』と拳をグッと握りしめる場面だったのです。
それを全部わかってくれたかのような、あの力強い演出。
「去年の焼き直し」とファラリスさんはおっしゃいましたが、僕の中では去年とは全く異なるもののように感じます。また違った感情を沸き起こしてくれる、最高のムービーに仕上げてくださったと、本当に感謝しています。
「幻影を続けてきてよかった」という想いと「これからも幻影を頑張っていこう」という決意を同時に抱かせてくれる、本当に素敵な動画だと思っています。
もしまだご覧になっていない方がいらっしゃれば、ぜひ見てみてください。
告白すると、たぶん僕は既に100回くらい見てる気がします(誇張なしで)。
そんなこんなで諸々の準備が整った『Award Of The Visions 2021』。
いよいよ、配信当日を迎えることになります。
つづく(アワードネタ、次で終わらせます……)
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