「季節の変わり目」なんていう表現を僕らはよく使いますが、それに倣うならば四月は「人生の変わり目」といえるのかもしれません。
四月から進級する学生や、新社会人はもちろん、多くの企業にとって四月は期初になるため、昇格や人事異動などが起こりやすく、何歳になっても四月というのは生活に大きな変化をもたらすタイミングだったりします。
幻影戦争のプレイヤーにとってもそれは例外ではなく、うちのギルドも四月からのリアル環境の変化に伴って、このたびくれあさん、たらさん、まるさん、くまさんの4名が引退・隠居されることとなりました。
今回はそんな皆さんを送り出すために先日行った送別会のお話。
継続か、解散か
サブマスを務めてくれていたくれあさん、たらさんから引退・隠居の相談をもらったとき、正直に言うと最初に頭をよぎったのはギルドの解散でした。
そのちょっと前に同じくサブマスのラテさんからも、リアル都合で忙しくなるからサブマスを離任したいという相談をもらっており、奇しくもサブマス全員がいなくなる事態となっていたからです。
「忙しくしているつもりでいたけれど、実は俺、誰よりも暇人なんじゃ……」
なんていう不安が頭をよぎりつつ、やっぱりこれまでずっと支えてくれたサブマス陣が誰もいなくなってしまっては、もはや別のギルドみたいになってしまうのではないか、と思ったのです。
また、自身が勧誘戦争を耐え抜けるのか、という不安もありました。
もちろんみなさん「代わりが見つかるまでは在籍します」と言ってくれましたが、個人的にはいつも、できればその選択は避けたいと思ってはいて。
なぜなら、そもそも幻影ができなくなるくらい忙しいから引退・隠居という判断をしているにも関わらず、場合によっては1~2ヶ月続けてもらう必要があり、なんというか「ゲームを続けさせる」っていうのが申し訳なくてたまらんのです。
それでもあからさまにギルドランキングが落ちてしまったり、敗戦が続いてしまったりするのは、残ってくれるギルメンに申し訳ない想いもあるから、通常時は本当に申し訳なく思いつつも、代わりが見つかるのを待ってもらうことが多いです(もちろん事情によります)。
ただ今回のように複数名同時となると、新規加入者が決まったとしても「あと〇人待たせてる……」となったり、その間に新たに脱退者が出たりすると(不思議とこういうのって重なるものなので)終わりの見えない日々に、いつも以上に精神的にダメージを受けたり。
それを数ヶ月間、支えてくれていたサブマスがいなくなる中で耐え抜けるんだろうかと言われると、ちょっとキツそうだなぁと思ったのが正直なところでした。
でもやっぱり、これまでずっとギルドに貢献してくれた人がいて、このギルドを選んで入ってきてくれた人がいて。僕自身がまだ続けられる環境の中で、安易に解散という選択肢はなかなか選べない。
そこで、まず「代わりの人を見つける前に、ちゃんと送り出そう」と決めました。例え人数不利になってしばらくギルバトに勝てなくなったとしても、順位が大きく落ちたとしても、そこはまぁ後からまた頑張ればいい。一回落ちるところまで落ちて再出発した方が精神的には楽なのと、やっぱりちゃんと見送りたかったんです。
その上で、ギルドがそういう状況になる旨をギルメン一人ひとりに伝え、残るか移籍・脱退するかの意思を確認させてもらいました。そこでもし脱退者が多発するようであれば、事実上の解散を選ぼうかなと思ったのです。
結果として、ほとんどの人から残りたいという返事をもらうことができたので、それをエネルギーにギルド自体は継続していこうと心に決めました。
忘れられない日にしよう
ギルドの継続を決心したので、あとはもう「どうやって送り出すか」に脳内のリソースを振り切りました。これまでずっと支えてきてくれた人たちを一斉に送り出す機会なんてそう多くない(何度もあったら泣いちゃう)ので、せっかくなら盛大な送別会にしたいな、と。
それにゲームとはいえ2年半近く携わり、密度高くコミュニケーションを交わしてきた関係性なので、引退した後も折に触れて思い出せるような、そんな会にしたいなと思ったのです。
コンセプトは、『忘れられない日にしよう』というもの(誰にも言ってないけど)。
そこで半ば強制的に選出した「送別会実行委員」を作り、色んな意見をもらったり、協力してもらったりしながら、当日を迎えました。
別れはとてもさみしかったけれど、送別会に向けて準備を進めること自体は、とても楽しくワクワクできました。別れが避けられない以上は、それすら楽しんでやろうという最後の意地だったのかもしれません。
追い出しバトルの開催
送別会のメイン企画は、引退される皆さんのラストバトル! 大学生の頃に引退する4年生を交えて「追い出しコンサート」というのをやったりしたのですが、そのノリです。「安心して引退・隠居しやがれっ!」っていうメッセージを込めました。
以前u-taさんが『約束の場所』というギルドを脱退された際に、ぺぺろんさんが最後にフレマしていたのを思い出して、なんかそういうのいいなって思ったのです。
ほなちゃんに協力してもらってVS画像まで用意したおかげで、ギルメンのみなさんからも「こんなにガチな感じでやるんだ」という驚嘆の声をいただけました。
プレゼント① ギルドTシャツ
完全に個人的な悪ノリと言われてしまえばまったく否定できないのですが、折に触れて思い出してもらえるように、普段部屋着としても使えるギルドTシャツを作ろうと思い立ち、みんなに意見をもらいつつデザインしてみました。
個人情報を伝えることに抵抗もあると思い、ご自身で買ってもらえるようなやり方を採用。その分のアマギフをプレゼントする形をとりました。サービスの特性として、同じデザインのパーカーやトートバッグなども選べるので、Tシャツというかもはやギルドグッズという感じ。
作ってる間、めっちゃ楽しかったです(主旨を間違え始めている)。
プレゼント② 寄せ書き
これはもう鉄板ですね。ギルメンはもちろん、既に引退された前幹部陣だったり、人によっては以前所属していたギルドの方だったり、実行委員のみんなで手分けをして、色んな方から寄せ書きをしていただきました。
寄せられたメッセージを見ていると、自分宛じゃないにもかかわらず、とてもあたたかい気持ちになるので不思議なものです。ご協力いただいた皆様、ありがとうございました!
プレゼント③ イラスト
最後は個人的にもサプライズというか、まったく予定していなかったのですが、今回の引退・隠居の話を受けて、とあるギルメンの方が描いてくださったイラストです。ご本人からの強い希望で匿名とさせていただきましたが、その方の人間性がとてもよく表れた優しいイラストで、本当に素敵なんです。
うちはオフ会等をしていないので、似顔絵というよりあくまでその方のイメージなんですが、なんかね、わかるんですよね(笑) とっても嬉しいサプライズでした。本当にありがとうございました。
そんな企画やプレゼントを用意した送別会は、終始あたたかい雰囲気の中で進んでいきました。Discordのボイスチャットとライブ機能を使いながら進行し、みんなには聞き専としてテキストでコメントをしてもらっていたのですが、その雰囲気のあたたかいこと。
結果として、送別会をやって一番強く感じたのは「やっぱりうちは、いいギルドだなぁ」ということ。これまでみなさんが作ってきてくれたものを大事にしてきてよかったなぁと、まるで自分が送られる側かのように、強く実感していました。
このギルドのギルマスでよかった。
人に忘れられたとき
忘れられない日にしよう、というコンセプトから思い起こされたのが、漫画ワンピースでDr.ヒルルクが言った台詞でした。人はいつ死ぬのか、という問いに対する彼の持論です。
実は僕はこの意見とは真っ向から対立する意見の持ち主で、個人的には全然忘れてもらってもかまわないと思っています。
もう10年近く前のことです。
以前Twitterでもチラっと触れましたが、僕は小学生の頃に両親が離婚していて、4つ上の兄と一緒に母親に引き取られていました(とはいえ父とも仲が良かったし、何ならその父と母が25年の時を経て再婚する謎家庭なのですが)。母方の祖母も同居していて、言ってみれば母が父親役、祖母が母親役みたいな感じで、それはそれはどっぷりと愛情を注がれながら育ててもらいました。
そんな祖母がちょっとしたケガをきっかけに寝たきりになってしまい、その影響か少しずつ痴呆の症状も出てきていると母から聞かされていました。年齢も年齢だったので、ある程度は仕方のないことなのだろうと思いつつ、実家に帰って祖母を見舞った時の経験が、その後の自分の考え方を大きく変えることとなります。
記憶というのは、本当に地層のように積み重なっているんだなぁと実感したのですが、痴呆が始まった祖母は、「新しい記憶」から徐々に失くしていたようでした(もちろんケースバイケースなのだとも思いますが)。
強い風が地面の表層を削り取っていくように、カンナで一枚一枚表皮を削り取っていくように、祖母の記憶から僕の存在が削り取られてしまったのです。
祖母の目には、僕が兄に映っていました。
おそらくその時点での祖母の記憶から僕が完全に消えたというわけではなく、祖母の記憶時点では僕がもっと若いはずだったため、僕を見て年齢的に兄だと判断したのだろうとは思います。ただ、いずれにしても、その時を境に、僕は祖母の目に僕として映ることはできなくなったのです。
その時点ではまだ体験したことのないものだったので、正直なかなかのショックを受けました。でも僕の脳が司る自己防衛本能は、感情的になりそうな瞬間ほど、徹底して論理的に考えようとする癖があり、動揺する自分自身を無理やり抑えつけながらこんな結論を出しました。
「僕が覚えているんだから、別にいいじゃん」
確かに祖母の記憶からは僕自身は消えてしまったのかもしれないけれど、僕自身は祖母から受けた愛情を覚えているし、返せないほどの感謝も抱えていて。それは祖母の記憶に何ら依存しない、自分が実感としてもっているもので。つまり僕が覚えている限りは、祖母にしてもらったことも、祖母への想いも、何も変わらないんだなと思うのです。
その時に、Dr.ヒルルクの言葉に真っ向から対立する自身の意見が確立されました。どれだけ人に忘れられようと、自分自身がハッピーな記憶として覚えていられるならば、それはもう十分にハッピーなことなのだと。
送別会のコンセプト、忘れられない日にしよう。
これは他の誰でもない、自分自身にとって「忘れられない日」にしたいという想いから、決めたものだったのです。
旅立っていく皆の記憶から、忙しい日々で幻影の記憶が薄れたとしても、僕の中にある支えてもらっていた感謝は、ずっと消えない記憶として残しておけるように。
改めて、くれあさん・たらさん・まるさん・くまさん、これまで本当にありがとうございました!
いつかまた遊べる日を期待しつつ、またね!
ということで、ギルメン募集中です!
という経緯もあって、現在弊ギルドでは絶賛ギルメン募集中です!
本当にやさしい人ばかりで、あたたかいギルドであると今回改めて実感したので、そんな中で無理なく幻影を頑張りたい人には本当にオススメできるギルドです。
ギルドの概要については以下URLにリンクを張っておきますので、よかったら一度見てみてください。
ギルド概要:https://drive.google.com/file/d/1mBYaqWwLJ2S6dRCUTe-MeQseguIVgSYr/view
そしてもし興味があるという方がいらっしゃれば、ぜひぜひ私のTwitter(@FFBE23217515)までDMいただけますと幸いです!
ということで、大型連休と言われたGWでもっとも思い出に残った、送別会のお話でした。
つづく(と、思う)
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