既に強豪ギルドがひしめく中で新たにギルドを立ち上げて、ギルドバトル(以下、ギルバト)ランキング1位を目指す―――。
そんな極めて高い壁に果敢に挑み、見事達成したギルドがありました。彼らの姿を見て、自分もチャレンジしてみようと、新たにギルドを立ち上げられた方も多かったのではないかと思います。
2022年3月25日に解散という運びとなったギルド、Mysidia。今回は、そんなギルドでギルドマスター(以下、ギルマス)を務めていらっしゃった、土星紳士あしょばてさんのインタビューをお届けします!
後編では、ギルマスとなったあしょばてさんがギルド運営に大事にしていたことや、ギルバトの準備についてなど盛りだくさんでお届けします!
カーナ
あしょさんがギルマスになった後、メンバーを補充しながらまた改めて1位を目指していくことになるんだと思うんですが、トップギルドも勧誘には苦労しているイメージってあるじゃないですか。あれって、応募は来るけどマッチする人が少ないっていう感じなんですか?
あしょばて
そうですね。正直に言うと、やはりお断りしていた方もいました。この辺りの判断は本当に難しいんですけどね、必ずしも手持ちと強さが比例するわけでもないですし……。
カーナ
そうですよね、もちろんその人の良し悪しではなくて、ギルドと合うか合わないかっていう判断だったりもしますし……。ミスマッチとなってしまうと、互いに不幸になってしまいますからね。
あしょばて
そうですね、まさしく。
カーナ
そういう意味では、特に重視していたポイントっていうのはどのあたりだったんですか?
あしょばて
まず手持ちは見ます。統一防衛をしていた以上は、ある程度手持ちがないと苦しくなってしまうと思うので。あとはやっぱり、人柄ですかね。
カーナ
確かに、人柄が合わないとホント不幸なことになりますからね……。
あしょばて
ホントそうですよね。あと個人的な印象としては、文章が丁寧な人はしっかりゲームをこなすイメージがあります(笑)
リーダーとしてのあるべき姿
カーナ
あぁ、わかる気はします(笑) ところで、そんなメンバーの勧誘等も含めて、あしょさんがギルマスになってからギルド運営において大事にしていたことはどのあたりになりますか?
あしょばて
まず何よりギルドは1人では成り立たないので、サブマス達の役割や、メンバーのゲームに対する姿勢っていうのが大事だと思ってはいます。
その中で個人的に気を付けていたのは、負けそうな試合でも諦めて投げ出さないこと。常にポジティブな声掛けをすることを意識して取り組んでいましたね。あとは問題を先送りにしない、すぐに行動するって事でしょうか。
カーナ
あぁ、それは本当に大事なことですよね。
あしょばて
はい、時にはあまり得意ではない下ネタを交えながら、メンバーの士気を高めていました。
カーナ
……。
あしょばて
はい、時にはあまり……
カーナ
いや、聞こえてはいたんで、もう1回言わなくても大丈夫です。
あしょばて
ま、まぁでも、常にポジティブにっていうことを1番意識していましたね! いわゆる「不撓不屈の精神」ってヤツです!
カーナ
ポジティブに振る舞うことの重要性については、とっても同意なんですけど、たぶんそれってあしょさんにとっての「リーダーとしてのあるべき振る舞い」という意識がさせたことなのかなとも思うんですね。ポジティブには振る舞いつつも、その裏ではネガティブな思いを抱いていたこともあったんじゃないかと思うんです。
あしょばて
めっっっっっちゃありましたよ(笑)
カーナ
そうですよね(笑) そんな時あしょさんはどうされてました?
あしょばて
ネガティブな思いを自分一人で抱えても何の解決にもならないので、信頼に足る人に相談というか、聞き役になってもらっていましたね。
カーナ
なるほど、なるほど。そういうパートナーがいてくれたんですね。
あしょばて
はい、本当にありがたいことに。
カーナ
まぁでも、そりゃみんなありますよね、そういう瞬間は(笑)
あしょばて
パーフェクトヒューマンじゃ無いですからね(笑) それを見せるかどうか、だとは思います。
カーナ
もちろん見せずに振る舞うことだけが正解ではなくて、弱さを見せるマネジメントっていうのもあるとは思うんですが、いずれにしても最後の部分でブレないっていうのは大事ですよね。
あしょばて
そうですね、芯を通す事はかなり大事だと思います。
ギルマス・サブマスを労って!!
カーナ
ちなみにあしょさんは、ある意味成り行き的にギルマスになられた感じはあるじゃないですか。自分で立ち上げたわけではない、というか。そんな中で、ギルマスとしてのモチベを維持できたのは、どこに理由がありますか?
あしょばて
うーん、そうですね。メンバーが、ギルマスとして認めてくれていたから、ですかね……。正しくは、認めてくれ始めたのを実感できたから、というか。ちょっと表現が難しいですが。
カーナ
おぉ、なるほど。信頼感を実感できていた、というか、ある意味で貢献実感みたいなものなんですかね?
あしょばて
そんな感じですかねぇ……。後は、自分がギルマスのギルドが総合1位に居るってだけでも結構モチベが上がりますよ(笑)
カーナ
や、それを味わえるの一部のギルマス過ぎる(笑) ちなみに、ギルメンがあしょさんをギルマスとして認めてくれ始めたなって実感できたのはどんな瞬間だったんですか?
あしょばて
単純ですけど、ギルバトでの掛け声が『さすギルマス!』になった時とかですかね(笑)
カーナ
あーー、なるほど! なんだかんだ、そういう瞬間が大事なのかもですね。
あしょばて
微妙な変化なんですけどね、地味に嬉しい。
カーナ
自分の立場でこんなこというと変な感じになりますが、ギルマスやサブマスを続けるためには、ギルメンからギルマス・サブマスへの励ましの言葉も必要なものですよね(笑)
あしょばて
や、それ本当に大事なので、世のギルドメンバーさん是非ギルマス・サブマスに労いの言葉をかけてあげてください(笑)
カーナ
それ、3回くらい書いておきます(笑)
あしょばて
お願いします!!!
一手が勝敗を分けるギルバトへ臨む準備
カーナ
さて、ギルマスとしての喜びや楽しさも実感しつつ、これまでトップ帯を走り続けてこられたわけですが、上位を走り続ける上で必要なこと、大事なことはどこにあると思いますか?
あしょばて
大きく3つあるなと思っていて。
1つは、優秀な指揮官の存在です。指揮とまではいかずとも、交通整理をする人は必要不可欠だと思います。2つめは情報収集力ですね。
うち、実は情報力が本当にやばくて、スパさんというサブマスが膨大なデータを所持していたんですね。対戦相手個人個人の手持ちはもちろん、編成データを過去1年分ぐらいは全て所持していました。それこそ、ご本人も忘れているであろうデータを全て、です(笑)
カーナ
すごっ!
あしょばて
3つめはやっぱり、メンバー全員が同じ方向を向いて、ひたすらに熱量高くゲームに臨めるかっていう部分が一番大きいと思います。結局30人もいながら、僅か一手の差で勝ち負けが決まるゲームですから。一人一人の意識、防衛の変更とか、攻撃編成の調整や把握だけで全然変わると思いますね。
カーナ
なるほど、一手の差が勝敗を分けるっていう言葉は、トップを走ってきたあしょさんに言われると重く感じますね。実はちょっと今日聞いてみたかったんですけど、トップを争うギルドのギルバト準備ってどんなものなんですか? 現役中だとさすがに聞けなかったことだったので(笑)
あしょばて
そうですね、まず防衛編成の方針ですが、最初に対戦相手の予想から始まります。これまでのローテーションや現状順位を踏まえて、対戦する可能性が高いギルドを絞り込むんですね。
その後、そのギルドの攻撃編成をチェックします。属性の数とか、どの防衛編成をどの攻撃編成で対策しているかなどの統計をとる感じですね。その上で有効に機能しそうな防衛編成を絞り込んでいき、模擬戦で実践していく、という感じですね。
カーナ
はーーーーー。
あしょばて
攻撃に関してはその時々で難しい部分ではあるのですが、必ず属性のバランス調整は行いますね。その上で各属性で相手のどんな防衛を抜いてほしいかを連絡し、調整してもらう感じです。流行りの防衛編成や新しいパターンなんかは、中身を予測しながら仮想敵を作って、各メンバーに倒せるかどうかをチェックしてもらいますね。
カーナ
ちなみに翌日の防衛編成を決定するタイミングや、攻撃編成のバランス調整はいつ頃行うんですか?
あしょばて
防衛は、できれば翌朝までには行うようにしていました。急遽昼の12時くらいに方針を変更し、反感を買ったこともありましたが(笑) 攻撃のバランス調整は当日の18~19時ごろに最終チェックする感じでしたね!
カーナ
はーー、なるほど。それを毎日行っていたと思うと、なかなかに大変ですよね……。
あしょばて
いやーー、ホントそうなんですよ(笑) 防衛に関してはサブマスがかなり考えてくれていたので助かりました。攻撃のバランスチェックも他のギルメンがやってくれていて、ホントそういう助け合いが大事ですね。ギルバトが始まったら、ゆーきやよいさんが常駐してくれていて、交通整理や指揮を担当してくれていましたし。
カーナ
確かに、特定の誰かに負担が偏ってしまう状況を避けることって大事ですよね……。
あしょばて
それでも、そこまで準備して臨んでも、番狂わせが起こるっていうのが、このゲームの面白いところだとも思いますけどね(笑) 課金力も大事ですが、それがすべてではないですし。
そして、解散という選択へ
カーナ
や、それでも上位を維持できるギルドは、結局はそれだけの準備をしているギルドだっていうのも、ちゃんと報われている気もしますね。
さて、そんな風に何度かの崩壊の危機を乗り越えながらも、ここまでずっと走り続けてきたにも関わらず、今回に関しては解散という選択をされたわけじゃないですか。その経緯はどんなものだったのでしょう?
あしょばて
まずきっかけとしては、私自身のリアルの多忙化にあります。4月に仕事の責任が重くなってしまって、ギルド運営がかなりキツくなるのが目に見えていたんですよね。
カーナ
なるほど。
あしょばて
普通にゲームをする時間は取れるのですが、運営となると話は別で、中途半端になってしまうな、と。それでサブマスにその話をしたんですが、そしたらサブマス陣も各々の理由で全員が引退や、隠居を考えていて(笑) ただ、流石に幹部だけでは決められないなと思い、状況連絡と今後の相談を、ギルメン全員としました 。
カーナ
うんうん。
あしょばて
もちろん継続する方法もあったとは思うんですが、メンバーの多くは、輝いているまま綺麗に終わろうと言ってくれて。最終的には私の判断になりますが、今回は「解散」の形を取らせてもらいました。
カーナ
なるほどなぁ。でもいざ解散となって、元いたメンバーの方々の内、上位ギルドに移られた方も多かったじゃないですか。つまり、上位ギルドでは続けたいという思いはあって、それでも解散を選んだっていうことですよね。
それってやっぱり、ギルマスがあしょさんで、サブマスの方々がいて、っていう体制じゃないなら、それはもうMysidiaじゃないっていうくらいに、幹部陣の存在が大きかったんでしょうね。
あしょばて
ありがたいことに、実際そう言った事も言ってもらえましたね。
カーナ
それはもしかしたら、最後にして最もギルマス冥利に尽きる経験だったのかもしれないですね(笑)
あしょばて
解散を決めた張本人ではあるので大きな声で言えないですが、嬉しいもんです(笑)
カーナ
ギルマスというポジションの大変さは理解しているつもりなので、誰よりもあしょさん自身にご自身を労ってあげてほしいと思うのですが、走り抜けた日々を振り返って、ギルマスとしての自分に何点をつけてあげたいですか?
あしょばて
うーん……ここはまぁ、甘えさせて頂いて、100点を付けてあげたいですね(笑)
カーナ
や、文句ないですよ(笑) 手に入らなかったものはないんじゃないかっていう気がしますもん(笑)
あしょばて
恵まれました、本当に(笑)
カーナ
ところで、今後についてはどう考えてらっしゃるんですか?
あしょばて
ひとまず仕事の状況が変わった事もあって、どのように生活が変わっていくのか、可処分時間がどれぐらい取れるのかを見定めてる所でして、本気のギルバトは一旦休憩かなと思っています。
ただ、違うコンテンツには色々とチャレンジしてみたくて、例えばアリーナで天下無双を狙ってみたり、ユーザーイベントで優勝やクリアを狙ったり、今まで出来なかったことに少しずつチャレンジしていきたいと思ってます 。
カーナ
なるほど、ではこれからはあしょさん個人の活躍に注目っていう形ですね。
さて、最後にお聞きします。これまでトップギルドの一員、新ギルドの立ち上げ、そしてトップギルドのギルマスとして、幻影界でもかなり濃密な日々を過ごしてこられたと思います。今それらを振り返ってみて、どんな感情が沸き起こってきますか?
あしょばて
そうですね、感情というか、一言自分に言いたい言葉があって、『まじで、おつかれさん』と伝えたいな、と(笑)
カーナ
(笑) や、でもホントそうですね。本当に、お疲れさまでした。
きっと、ずっと自覚はなかったとしても、ギルマスをやめたとき、思いのほか大きく育った「肩の荷」に気付いたんでしょうね。
あしょばて
そうですね。でも荷を下して思ったのは、例え重くても大事な「肩の荷」だったなぁ、という事です。
カーナ
うーーん、なるほど。その大事な肩の荷を、変な形で終わらせることなく、背負いきったっていうのは、同じギルマスとして本当に尊敬します。
あしょばて
あ、あとこの場を借りて改めて伝えたいんですが、解散時には本当にまみさんにお世話になりました。感謝してもしきれない……。
カーナ
おぉ、卒業証書の! あれは素敵でしたね!
あしょばて
めちゃくちゃな依頼を快諾してくれて、凄い人です(笑)
カーナ
あぁいうの、めっちゃ思い出に残りますもんね。あれによってMysidiaがちゃんと完結できたというか。美しいエンディングになりましたね。
あしょばて
はい、まぁちょっとカッコつけすぎてしまった感はありますが(笑)
カーナ
いや、カッコつけるべき瞬間だったと思いますよ(笑)
ということであしょさん、本日は本当にありがとうございました! そして本当に、お疲れさまでした!
あしょばて
こちらこそありがとうございました! とはいえ幻影は好きなので、これからも楽しむつもりです! なので、これからもよろしくお願いします!
トロフィーシステムの仕様上、順位を上げることよりも順位を維持することの方がはるかに難しい中、常にトップ帯を走り続けるギルドのプレッシャーというのは、どれほどのものなのか。あしょばてさんの「まじで、おつかれさん」という言葉に、その一端がよく現れているように思います。
ギルドを新たに立ち上げ、上位を目指してひた走り、さまざまな壁を乗り越えて、名実ともにトップギルドの一角となったMysidiaさんは、間違いなく幻影史に残るギルドの一つだと思います。
「もうギルド運営はいいや」とおっしゃっていたあしょばてさん。今は少し充電をしていただき、いつかまた本気で幻影に臨める日が来たら、1プレイヤーとしてどこかのギルドでまた活躍する姿を見せてくれることでしょう。
新興ギルドのロールモデルともなったMysidiaのみなさん、本当にお疲れさまでした!!
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