既に強豪ギルドがひしめく中で新たにギルドを立ち上げて、ギルドバトル(以下、ギルバト)ランキング1位を目指す―――。
そんな極めて高い壁に果敢に挑み、見事達成したギルドがありました。彼らの姿を見て、自分もチャレンジしてみようと、新たにギルドを立ち上げられた方も多かったのではないかと思います。
2022年3月25日に解散という運びとなったギルド、Mysidia。今回は、そんなギルドでギルドマスター(以下、ギルマス)を務めていらっしゃった、土星紳士あしょばてさんのインタビューをお届けします!
前編では、あしょばてさんがギルマスとなるところまでの経緯を赤裸々に語っていただきました!
カーナ
あしょばてさん(以下、あしょさん)、本日はよろしくお願いします!
あしょばて
こちらこそ、よろしくお願いします!
カーナ
まずは幻影戦争を始めたきっかけみたいなところからお聞きしたいんですが、あしょさんは幻影初日勢ですか?
あしょばて
厳密にいうと、2日遅れくらいで開始しました。ギルガメッシュがほしくてリセマラを2日間頑張っていたのですが、結局出ずにエンゲルベルトでスタートした感じです。
カーナ
始めるにあたって、何か明確なきっかけはあったんですか?
あしょばて
元々FFが好きで、本家(FFBE)もやっていたんです。その中でもFFタクティクスは、自分の青春ど真ん中っていうタイトルだったので、やはりその影響が大きいですかね。最初のうちは本家と並行してやっていたんですが、プレイしてみたらタクティカル要素がしっかりと盛り込まれていて、すぐに幻影1本になるくらいのめり込んでいきました。
カーナ
ギルドにもどこかにすぐ加入されたんですか?
あしょばて
元々ギルドゲームをあまりやったことがなかったので、最初は「報酬もらえるなら入るかぁ」くらいな感じでしたね。でもそのギルドはほとんどギルバトに参加する人もいない状況だったので、『THE Beoulve’s』というギルドに移籍しまして。それからはギルド内でもコミュニケーションを取り始めたっていう感じです。
カーナ
FFタクティクスが好きなあしょさんならではのギルド選びな感じがしますね(笑) その後、上位ギルドにあたるLEGALさんに移籍されたかと思うんですが、あしょさんが移籍された頃にはもうLEGALさんは上位ギルドにいたんですか?
あしょばて
どちらかというと、急上昇中の勢いのあるギルド、という感じでしたね。
カーナ
ただリリース直後の3月くらいには、もうカツサンド騎士団さん、チョコボ団さん、フローズヴィトニルさん、パルチザンさん、そしてLEGALさんっていう感じの並びでしたよね。LEGALさんがパルチザンさんと何度もドローを繰り返していたのを見ていた記憶があります(笑)
あしょばて
ありましたね! 7戦連続とかだったと思います(笑) まぁ手数差での勝敗がない時代だったので、何とか殲滅してドローに持ち込んだ、という感じでしたが。
Mysidiaの誕生
カーナ
5月にカツサンド騎士団さんが解散することによって、所属メンバーが当時上位にいた各ギルドに別れていく中で、Mysidia初代ギルマスのSharonさんと合流する形になるんだと思うんですが、Mysidia結成のきっかけについて聞いてもよいですか?
あしょばて
SharonさんがLEGALに合流してきた時のことをよく覚えているんですが、それはもうびっくりするくらいの考察力を持った方だったんです(笑) それもあって、Sharonさんが合流してちょっとした頃、自分とSharonさんがLEGALのサブマスター(以下、サブマス)に任命されたんですが、当時のギルマスとギルド方針で意見が食い違いがありまして……。
衝突のような形となってしまったんですが、その時にSharonさんと「LEGALを脱退して別ギルドを一緒に作ろう!」と意気投合したのが、結成のきっかけでしたね。
カーナ
当時って「新規ギルド立ち上げて一から頑張ろう!」っていう前例がほぼない状況で、かなりハードなチャレンジというか、難しい決断だったと思うんですけど、不安とか迷いみたいなものはなかったんですか?
あしょばて
不安や迷いはもちろんありました! ですが、わりとLEGAL内で自分達の意見に賛同してくれて、同じ船に乗り込んできてくれた仲間がいてくれたので、不安よりもこれから頑張ろうという期待の方が大きかったですね。
カーナ
そんなMysidiaさんの存在がロールモデルになったのか、その頃に新たなギルドが多数立ち上がった気がするんですが、それでも実際にトップ帯にまで辿りついたギルドって、未だMysidiaさんだけなんじゃないかと思うんです。
もちろん他ギルドのことはわからないとは思うんですが、あしょさんが思う、Mysidiaさんがトップに辿りつけた理由って、どこにあると思いますか?
あしょばて
メンバー全員が同じ方向を向いているのであれば、単純に1回1位を獲るだけなら勢いと運があればできるんじゃないかと思いますよ。それを維持することの方がはるかに難しいというか、色々な巡り合わせがないと実現できないと思います。
カーナ
確かに、それはそうなのかもしれないですね。ただ、とはいえ実際に1位を獲ったことのあるギルドって現時点ではまだ7~8ギルドくらいに限られるわけじゃないですか。それってつまりは、「メンバー全員が同じ方向をむいている」という状態を立ち上げから維持するっていうこと自体が、とても難易度が高いことなんじゃないかと思うんですが……。
あしょばて
そうですね、自分で言っておいて何ですが、うちも常にメンバー全員がモチベーションを高く維持して、同じ方向を向いてこれた訳ではないんです(笑) ただ、出来る限りそうなるように、ギルマスとして厳しい判断をしなくてはいけない時はあると思っています。いわゆる、注意喚起や退団勧告ですね。
カーナ
なるほど、どうしても勧誘戦争が大変だからっていう理由で目をつぶりたくなるところを、誤魔化さないっていうことですね。
あしょばて
そうですね。問題を先送りにしないこと、たとえ人数差が出来たとしても、頑張っているメンバーが気落ちしないように働きかけることの方が大事です。といっても、本当に勧誘は辛くて大変なんですけどね(笑) だからこそ、残って頑張ってくれるメンバーの存在は、本当にありがたいですよね。
ギルドを成長させていく上で大事なこと
カーナ
本当にそうですね。ちなみに新たなギルドを立ち上げてトップに至った先達として、今まさに頑張って成長を遂げている若いギルドの方々にアドバイスできることって何かありますか?
あしょばて
まず目標をしっかりと掲げることが大事だと思います。そしてそれを貫き続ける事。もちろん途中で変更するのも良いのですが、その時は半壊する可能性もあるので慎重に行った方がいいと思います。
あと、少し厳しめな意見を言うと、ギルドって本当にいっぱいあるじゃないですか。「楽しく、各種コンテンツを協力していこう!」みたいなギルドってもう沢山有り過ぎて、飽和状態にあると思うんですよ。新興ギルドを立ち上げたら何をしたいか、他との違いをどう見せるのか、っていうのはギルマスやサブマスの腕の見せ所だと思いますね。
また、少し経ってくると、ギルバト無敗で登ってきたギルドさんは何処かで必ず勝てない壁にぶつかります。そのあたりで脱退者が続出すると思うので、そこで何とか踏みとどまれるかどうかが大きなターニングポイントになると思いますね。
カーナ
なるほど、ちょっと1つずつ聞いていきたいんですが、まずMysidiaさんの結成当時の目標はやっぱり1位を狙うことだったんですか?
あしょばて
いえ、発足当時は「トップ10を狙おう!」っていう感じでしたね。ちょっと未知数過ぎたので(笑)
カーナ
確かに、前例のないことでしたからね(笑)
あしょばて
その後、自分がギルマスになったタイミングで改めて設定した感じでしたね。
カーナ
なるほど、なるほど。あと、他ギルドとの差別化っていうのは、本当にその通りだなって思うんですが、Mysidiaさんとしてはどんな差別化を図っていたんですか?
あしょばて
実は当時は新興ギルド自体がめずらしかったので、「新興ギルドでトップ10を目指そう!」っていうだけで十分差別化できていたんですよ。それだけでも人が来てくれたというか。
カーナ
あー、なるほど!
あしょばて
だからあんなことを言いはしましたが、今の環境は本当に大変だろうなとは思います……。
カーナ
本当にそうですよね。それぞれに個性はあるものの、言葉で表現するとどうしても似たようなものになってしまうというか……。
あしょばて
そうですよね。なので本当に地道に、人とのコミュニケーションでつながりを増やしたり、イベント等でギルド名を売ったり、ギルメン募集の告知を折れずに続けたり、っていう活動が大事になってくるんじゃないかと思いますね。
カーナ
ギルメンがなかなか集まらないと、ホント心折れそうになりますからね……。ところで「いつか連勝が止まる」という話がありましたが、Mysidiaさんって、最終的に何連勝までいったんですか?
あしょばて
77連勝で、8位までいきましたね。
カーナ
8位まで無敗!! これはなかなか破られない記録ですね(笑)
あしょばて
話題性はあったと思います(笑)
カーナ
ちなみにその記録をストップした相手って覚えてます?
あしょばて
当時1位だった、パルチザンD.C.さんですね! もちろんそれまでにも負けそうになることはあったんですが、やはり久しぶりに対戦したトップギルドは別格でした(笑)
カーナ
なるほどなぁ、何かわからないですけど、カッコいいですね(笑) 先ほど勝てない壁にぶつかった時に脱退者が続出する、という話がありましたが、例えばあしょさんにとってはどちらかというと「戻ってきた」という感覚だったんじゃないかと思うんです。それでもやっぱり脱退者が出たものですか?
あしょばて
やはり全員が全員、上位のレベルを求めていたわけではなかったですからね。上位に上がるまで協力する、という形で参戦してくれた方もいましたし。あとはまぁ、ちょうど1周年のEXが発表された時期でもあったので、その影響もあったかもしれません(笑)
カーナ
あぁそうか、確かにあの時期でしたね。でもそういった苦労を乗り越えつつ、ついに1位を獲得したわけですが、1位を取れた時の感情ってどういうものなんですか?
あしょばて
まさに「ゲームクリア!」っていう感情でした。リアルに泣きましたね、あの時は(笑) 本当に、初めて1位になったときの嬉しさは格別でした。
カーナ
んー、いいですね。それを言えるギルマスって、まだ両手に満たないわけですからね。
あしょばて
だからこそ逆に、燃え尽きみたいなものもありましたね。厳密には、確か2日くらいで1位から陥落して、厳しい環境に絶望したというか。これからずっと、このレベルで戦っていくのか……、という(笑)
カーナ
なるほど、確かにそれは想像しただけでもイヤになりそうな...(笑) でもその後、あしょさん自身がギルマスのバトンを受け継ぐ形となるわけですが、その経緯を伺ってもいいですか?
苦しみながらとった行動、下した決断
あしょばて
ちょっと赤裸々にお話する形にはなってしまうんですが、当時のギルマスがリアル事情もあって少し不安定になってしまっていて、それが理由でメンバーの脱退希望が続いてしまったんです。そこで当時のサブマスたちで話し合って、状況を打開するために出した条件が、一度ギルマスを降りて1メンバーになってもらうか、完全に脱退してもらうか、ということでした。
かなり長時間にわたる話し合いとなったのですが、結局はギルマスが脱退するという形になり、自分が引き継いだという経緯ですね。おそらく、この話が拒否されていたら、自分がギルドを去っていたと思います。
カーナ
なるほど……、それは双方苦しかったでしょうね。あしょさんも、なかなかキツい役回りだったというか。
あしょばて
この頃が精神的に一番キツくて、「何でゲームでこんな事してるのだろう」って自問自答していましたね。仕事よりもハードなんですけど……みたいな(笑)
カーナ
や、ホントそうですよね……。正直、個人のことだけを考えれば、あしょさん個人が脱退するっていう方法もあったわけじゃないですか。
あしょばて
確かに、そうですね。
カーナ
その方が、あしょさんの心労は少なかったと思うんですよ。そもそもギルドランク1位をとって、ゲームクリアを味わったわけですし。それでもギルドの存続をかけて、ある意味で自分も相手も傷つく可能性の高い、苦労する可能性の高い決断をするって、結構ハードなことだと思うんですが、その決断ができた、腹を括れた理由って何だったんでしょう?
あしょばて
まずは当時一緒にサブマスをしていたへべれけさんと、ろにさんの存在が大きかったです。あとはやっぱり……、このギルドが好きだったから、ということに尽きる気がします。
本当に、本当にいいメンバーに巡り合えていたんですよ。人事を担当していたこともあったからかもしれないですけど、そんな人たちを置いて問題を解決しないまま、自分だけが楽な方に逃げるっていうのは……、ちょっと出来なかったですね。
カーナ
あぁ、それはなんというか、めっちゃわかるなぁ(笑)
あしょばて
ギルマスをしている方なら、この感情は理解出来るんじゃないかと思います。自分が言うのもなんですが、どこのギルマスさんも本当に凄い事をしてるんだと、褒めてもらっても良いと思います(笑)
カーナ
一方で、この人たちのためにも続けよう、って思えるギルメンに巡り合えるというのも、とてもハッピーなことではありますね(笑)
あしょばて
はい、メンバーに支えられているっていう感覚は大きいですよね(笑)
カーナ
ところで先ほど、あしょさんがギルマスに就任したタイミングで目標を改めて設定したとおっしゃっていましたが、具体的にはどんな目標にされたんですか?
あしょばて
実は、やっぱりギルマス交替時には一度崩壊が起きてるんです(笑) 恐らく10人前後はメンバーが抜けたと記憶しているのですが、その時にメンバーに相談せずに、これからの方針について自分なりに発言したんですね。それが『楽しくTOP10を維持しよう』といった内容でした。
カーナ
おぉ、なんというか、イメージよりも控えめな目標でした(笑)
あしょばて
はい、ちょっとヒヨってしまってそんな目標にしたんですが、これがギルメンからすこぶる不評でして……(笑)
カーナ
なんと(笑)
あしょばて
「どうせやるなら、1位を目指そうぜ!」っていう意見がかなり多かったんですよ。
カーナ
おぉ、でもメンバーからそういう熱い意見が出てくれるのは嬉しいことですね。
あしょばて
いやぁ、本当にそうなんですよ。頬を叩かれたような感覚というか、そこで目が覚めましたね。精神的に弱っていたタイミングでもあったので、すごく嬉しかったし、勇気づけられました。
カーナ
なるほどなぁ、もしかしたらその瞬間が、あしょさんの中でトップギルドのギルマスとしての覚悟が決まった瞬間だったんですかね。
あしょばて
今思うと、そうだったのかもしれませんね。
ギルドの立ち上げから無敗を続け、あっという間に上位へと上り詰めたMysidiaさん。端から見ていると順風満帆なように思えた旅路も、その裏ではやはり様々な苦労や、傷を伴う決断がありました。
30人もの人が集まり、それぞれにリアルもある以上、やはりどのギルドも苦労はされているんだなぁと思います。それは逆に言えば、まさに今苦しんでいるギルマスの方々には、それはきっと自分だけが苦しんでいるものではないから、自分を責めなくてもいいんだよっていうメッセージにもつながるのかもしれません。
さて、後編となる次回は、トップギルドのギルマスとしてギルドを運営していくこととなったあしょさんに、ギルド運営で大事にしていたことや、ギルバトの準備の仕方などについてお聞きします!
後編をお楽しみに!
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